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清山寶珠 Honestea
お茶屋さんって言うと、「おじさん」「おじいさん」がやってる印象がありません?女の人がやっていても、「おばさん」だよね。
そりゃまあ、30代も半ばをすぎれば立派なおばさんですが、いわゆる「歐巴桑」にはまだ少しあると思うんだよ。
明山茶集さんは、私とあまり年齢の変わらない男性がやっておられるけれど、四代目ですし。
20代30代くらいの女性が、一から立ち上げていないとしても、かなりハンドルを握っているイメージのあるお茶屋さんって、台湾ではそんなに多くなさそうな。
実は明山茶集さんのところの、お茶講座でご一緒した台湾人女性が実はお茶屋さん勤務でして。ちょっと仲良くしていただいたんですが、なぜにあなたが体系的な知識のない人向けの講座を受けておられたんだと思ったよ。
せっかくいただいたご縁を大切にしたく、今回はその方がお勤めになっている「清山寶珠」にお邪魔してお茶を買ってきました。
帰りに外を撮影しようとしたんだけど、大雨になっちゃったのよ。
「生活の一部」としてのお茶
この「清山寶珠」というのは、主人のルビーさんのご両親のお名前を組み合わせた店名です。ルビーさんは坪林のお茶農家の10番目として生まれ、一時期は北京で働いていたけれど台湾に戻って、お店を始めたという方。
ルビーさんは30過ぎ?くらいのおしゃれな人です。「ルビーさん」でわかると思うけど、「老闆娘」。(繁体字では「老闆娘」だけど、簡体字では「老板娘」)
ここね、ちょっと毛色の違うお茶屋さんです。台湾の現代工芸情報ならここでかなり情報を集められるよ、というと??って思うでしょう。でもそうなの。
場所は、「六張犁」駅から徒歩5分くらい。信義区ですが、見慣れていない日本人の目には下町?という風に見えるんだけども、実際には「台北の住宅地」です。
このお店のコンセプトは、「生活の一部としてのお茶」。
だから、住宅街にお店を作ったし、セレクトショップ的であり、生活に密接するような現代工芸品を扱います。
お客さんも、主にお友達がお友達を連れてくるんだって。
伺ったとき、器の作家さんや革のバッグの作家さんがお越しになってお茶を飲んでおられました。
このライトも素敵。
この電灯の傘は、台湾の古い家に使っていた窓ガラスを利用していて、こんな窓ガラスって日本にもありましたよね。いくつか撮影したけれど、多分これが一番綺麗に写ってると思う。
懐かしいよ。先日、福岡でなんか流されるように能古島に行ったんですが、民家にこういう窓ガラスがあって、ああ!ってなりました。ただ、実際に住んでおられるお家なので写真はないよ。
このお店は迪化街のような、レトロ趣味とはまたちょっと違った、素朴なものを大切にする現代の台湾の姿がある感じ。
お茶を淹れる道具も、必ずしも全部お茶専用というわけではない。
生活の一部だから、小さいものを乗せる金属のお皿に、お茶の葉を出すのに使ったものを置くのに使ったり。
これがね、手当たり次第雑多になんでも使っちゃいましょう、だったらひどいことになるんですが、センスのある人たちが組み合わせるときれいなんだなあ。
ars =技
私が思い出したのは、「art」。
artはラテン語「ars」由来の単語です。
姉さん、大学ではラテン語選択者で、中国語よりもラテン語の方がよくできると思うんだよね。文学部に行って受けてた美学美術史の授業でもやってよく覚えている話ですが、元々の、つまりローマ時代の「ars」という単語に「芸術」という意味はありません。「技術」「技」がこの単語の本来の意味です。つまり、人工的なことを指します。
美術の形式は基本ギリシャから持ってきて、自分たちは実用性のあるもの(建物や道路など)に精を出した、ローマ人らしい話です。
これに、ルネサンス期に「ars=芸術」という意味が加わります。
この「清山寶珠」でやっていることって、「ars=技」に戻ってるんだなあと。
そして、それが美しい。ローマ的な美。
友達のお家で、現代台湾の作家ものに触れる感じ
お店も「友達のお家に来るようなイメージ」ということで、大きいテーブルを囲んでお友達とおしゃべりしたり。
飾ってあるアクセサリー(売り物)も、実は木の実に釉薬を塗って焼いたら中の木の実は燃えてなくなり形だけが残るのを利用したものだったり。
現代アートは現代アートですが、素朴な美しさです。こういうの、結構好きだ。
伺ったときにフィーチャーしていたのが「背」という作品ですが、「人間」なんですよね。あら、humanism でルネサンス。
「アジア」というと、ごちゃ混ぜのエネルギッシュなものをイメージする人はかなりおられると思うんですが、私のみるところ台北に関してはそのイメージは5年は遅れています。
初めて行った2011年はまだちょっとごちゃ混ぜ感があったけれど、ごちゃ混ぜ感ならむしろ香港で。台北は行くたびにどんどん洗練されていくなあって思う。
その、台北の洗練がここにぎゅっと集まっている。
お茶屋さんはお茶屋さん。その軸足は変わらない
でも、お茶屋さんなの。
お茶屋さんとしては、ルビーさんのご実家が坪林にあるようで、ここで作った文山包種茶がいちばんのお得意のお茶。
「清山寶珠」という店名も、「清山」がお父さんのお名前で「寶珠」がお母さんのお名前です。
ただ、それ以外にも他にもいろいろ扱っておられます。他にも意翔村など回る予定だったんだけども、日程が短い上に天候もあるしなあ、ということで、明山さんと清山寶珠さんでお茶を買っておしまい、ということで、予定外ですがちょっと多めに買ってきました。
お茶屋さんはお茶屋さんなので、やっぱり普通のお茶屋さん同様、葉っぱを見ながら、お茶を飲みながら選べます。
下が濡れていてまずいかな?と思ったんだけども。
これなら大丈夫。
台湾の人ってCP、CP値、って日本語で言うところの「コスパ厨」が多いのだけど、正直なところ、ここのお茶は値段の割に量はあまり多くないのも認めるしかない。
ただし、こだわりまくってるから。
コスパコスパという人には、別のお店をおすすめしますよ。
一番初めに飲んだのが、文山包種茶。
これは青心烏龍で作ったものです。最近は金宣烏龍で作るものが多いんだそうですよ。
文山包種茶は、台湾のお茶の中では「丸くしない」お茶なんですよ。日本の緑茶のうち、蒸し茶に近いです。うちの祖母が作っていたお茶のような見かけです。つぶれると折れてしまうので持って帰るのがちょっと大変なのは認めよう。
色が薄いので発酵が浅めだろうということが、この色で推測できるかな。
次に飲ませていただいたのが、貴妃茶。
これは金宣烏龍で作ったお茶です。
こっちは、丸っこく仕上げます。
貴妃茶というのは、ウンカに噛ませて作るお茶の一つです。「蜜香烏龍茶」の一つ。
少し発酵が進ませたものなので。それでこんな色に。甘い香り。
大葉烏龍で作った文山包種茶
次は、再び文山包種茶。ただし、これは「大葉烏龍」という種類なんですよ。最近は大葉烏龍で作るものはあまり飲まれていないということで。ちょっと珍しいんだろうな。
実はこのお茶、冷えたときがすごいの。
甘みが増すんですよ。氷出しなんかもおいしいですよ、とのことです。
梨山
次はルビーさんのいとこさんのお作りになる梨山。青心烏龍で作ったものです。
うんうん。これ。梨山です。クラクラくるやつ。
ということで、文山(大葉)・貴妃・梨山と買ってきました。(カード使えるよ)
友達の家を訪れるように
お茶とは、みなと美味しく飲むもので、人と楽しむもの。
お茶は、人と人の関係を深めるもので、お茶で友達を作る。
そういうお店です。
なお、接客は全部日本語でしていただきました。しかし、ここは日本じゃないから。日本語が通じると思い込んで行くと、日本語ができる方がおられなかったら、あうあう、ってことになりかねないので。その点注意してね!
姉さんと一緒に中国語やる?⇒ロゼッタストーン中国語。やってみて思った、向く方と向かない方