陝西省にはもう一つ歴史博物館があり、それは咸陽の秦漢館です。それもあるのか、出発一週間前に「陝西歴史博物館は順次リニューアルを開始します。10/19からは〜」とか、数年後にまた来ないといけないパターン…と思ってた。
私が行ったタイミングでは結構見たいものというか見るべきとされているものは見られるように特集みたいなのが組んであったようなので、私としては10年は行かなくても良さそう。4時間かけて見たよ。

歴代、陝西省歴史博物館という名前だったこともないわけではないようですが、現在の名称は「陝西歴史博物館」。
陝西歴史博物館の攻略ポイント!
先に攻略?ポイントを。秦漢館ができたのもあって、順次リニューアルさせながら、みたいなので。2030年くらいになったら役に立たないかもしれない。
そこそこ解説があるけど、日本語での解説はないし。
日本人もそれなりに訪れる西安だし、と思って、音声ガイドのコーナーにいた人に、日本語あるかと聞いたけど、なかったよ。(英語はそもそも聞いてないです)
野良なのかよくわからんガイドがゴロゴロしている博物館ではなく、(そういうのがいる博物館もあるんですよ、西安では)けれど。
たまたま、日本語ガイドがが解説してるのを聞いたんだけど、解説してもらうのが目的ならお勧めしない。使い方は下に書く通り、制限された時間で重要なものを効率よく見たい、とか、見逃しなく見尽くしたい、みたいなのではないかなあ。目的をはっきりさせた方がいい。
解説なら、日本語で専門家が書いてる新書レベルの本を何冊も読んで。ぜったい、「おお!あれはこういうことか!」みたいなのがあると思う。記事の中に適宜入れておくんで。図書館でもいいからcheck it out。
これ↓は必須。
壁画まで見たいし、Trip.comで買ってチート。
ここは予約必須です。旅程を組んでいるときに微信がロックされたんで。うわー、行けないかも。と思ってたけど。結局、微信が戻ったから。予定日の5日前にすかさず予約か…と思うんだけど。トロい俺さまに予約を取れることはなかった。無理。でも見に行けたんだぜ。
ふと見ると、Trip.comに、解説なしの6000円近いチケットがあって、べらぼうな、と思うんだけど、唐代壁画珍品館まで入ってるんですね。Trip.comの親玉、愛用してる携程で唐代壁画珍品館まで入ってるのは解説つきっぽく。これを買おうとするとなんと800元。ふぁ!?そもそも中国語の解説が理解できるかがわからない。
どうも、構造的に、常設展をやってるところ、特集コーナー、大唐遺宝、唐代壁画珍品館、っぽいんですよ。このうち大唐遺宝、唐代壁画珍品館は有料で。壁画珍品館の値段がいまいちよく分からなかった。大唐遺宝は現地で30元くらいじゃなかろうかと思われた。
なお、2025年10月下旬では、大唐遺宝は無料で入れた模様です。おそらくリニュ中だからかな。
ネットで見つけやすい中国人たちって、やはりインフルエンサーよりで。「(これは)有料だからおすすめしない」を声高に言う人たちが多くて。台湾人の言うところのCP値ですね。唐代壁画珍品館の情報が見つけにくい。
で、日本語でようやく、古い、なんと2012年のが出てたけど、300元だったんですよ。おう〜Trip.comが唐代壁画珍品館込みで6000円を切ってるのは、今のレートでは良心的かな、と。
https://4travel.jp/travelogue/10684949
で、現地に行ってみると、270元になっていた。それでも今のレートで6000円を切るならやっぱり良心的。チケットも取らなくて済むということで大変お得。
大唐遺宝
あれ?有料では?無料?一応ゲートあるけど解放されてるなあ、と思いながら、列にくっついて入りました。
ここはタイトルからして、唐ドーン。西安そのものが唐推し。玄宗と楊貴妃推しなのは、本当に白居易のおかげすぎる。ただし、十三朝の都と言いながら、統一王朝としては、唐が最後なので、出てくるものは唐メインになるんでしょう。
「大唐遺宝」のメインは、何家村で見つかったお宝のコレクションです。

↓こういうツボに入ってた。

銅銭だと床下に貯めて流通しないことがあり。しかも、埋めたのを忘れた、誰かに伝える機会がなく、ということもあるんだって。で、宋の時代には、土地の売買契約の中に地下から見つかったものは、買主のものという特約までつくようになったというのを読んだのね。
へええ、なんて思ってたんだけど、古くから開けてた洛陽に長安みたいなところだったら大いにあり得るねえ。なお、中国はかなり早い段階で貨幣経済に入ります。↑では、我が国では飛鳥時代に銅銭を導入しようとしながら、どうして続かなかったかの回答も書かれてたので、要チェック。概念を理解しなかったというよりも、物理的な問題だったよ。
さて、ここで私が気に入ったものを二つばかり。↓が、龍。すごく小さいのよ。

足が長くて、蛇というより犬じゃない?
もう一つが器。

他には、薬の入った銀の容器が結構あったよ。
青銅器特集
行ったときに改修してたのが、陝西省の有史以前から古代の部分だったからか、青銅器特集をしていた模様です。
さすが西周の地。青銅器コレクションはなかなかのもので、レプリカを触って体験、みたいなものもありました。
スタートは銅の鉱石からだったよ。
亀甲文字は、碑林博物館のを見せる予定なので写真はカット。殷というか商というかもちょっとあったけどここ(西安)じゃねえわな、みたいな気分なので写真はカット。武漢の、盤龍城の博物館ドゾ ⇒盤龍城遺跡公園
さて、青銅器。
これまであまり見たことがなかったもの(記憶にないもの)として↓出土場所は河南省(洛陽のある省。殷はこっち)で、借り出してきたようです。

同じ型のように見えます。厳密に全く同じかは別にしても、同じデザインだね。同時に出土したかは不明。横顔ですよね。どうつけたんでしょうね。
↓は、陝西省のもの。歴博のキャラにもなってる「觥(こう)」。杯の一つです。儀礼的な酒器一覧の中にあった。

かわゆ。でもごっついし、洗うの大変そうだな……宗教的儀礼や権威のために用いられたもので、このコーナーだったかな、周の陶器を結構見ました。意外に結構ごついやつとか。
台北の故宮博物院にあるような、大きいやつ。ああいうのもたくさんあった。
殷、そして周は青銅器を用いて……というのはこの辺りに詳しい。
常設展より
タイトルの写真を撮ってないな。
また、秦・漢のものはかなり咸陽に移されているっぽいんだけど、こっちの博物館と向こうをごっちゃにして書いてるのではなかろうかと思われる中国人多すぎだなーと思ってたの。
来てみたら、こっちに秦・漢の国宝級のものはほぼなく、置いてあるのはほぼレプリカで、おそらく中国人はごっちゃにしてるのではなくて、レプリカを本物だと思い込んでる可能性もあるし、レプリカで十分だと思ってるのかもしれない。
レプリカが悪いという意味ではない。というのも、明らかなレプリカwwwではなく、私程度の人の目には、目の前に並べて見ても本物と違いがわかるかわからんもん。写真ではわかりにくい、大きさとか質量感とか。もちろん見てわかる範囲でしかないけど、迫ってくるものがあるよ。
「東方帝国(たる秦)」と「大漢」は、もちろん見るところはあるし、本物もたくさんあったけど、主なお宝は秦漢館や兵馬俑の方にあるので、そっちの記事でお見せしようと思う。
魏晋南北朝
ここは本当にびっくりするほど手薄い。確か、漢と唐をいっしょにやってなかったっけ?くらいの。HPで見られるもので、見た記憶のないものもあるんで、それが出てなかったということかしら。
え!?五丈原は!?漢中は陝西省よね!?と思ったくらい三国時代はほぼ無視だーよ…
歴史博物館にあるこの時代のもので、見るべきものはこれ。独孤信(どっこ・しん)の印鑑。俺、大興奮。

独孤信って、わからんわな。西魏・北周の重鎮の一人です。ご本人は失脚して死んじゃうだけど、娘たちがキーで。一人は北周の王后(のちに皇后を追贈)に。もう一人は李さんという将軍に嫁ぎます。二人とも下の名前までは記録されてない模様です。
しかし、一番下の女の子の名前は残ってる。独孤伽羅(どっこ・から)。夫は楊堅。と言えばわかる?隋の楊堅だよ。伽羅さんはお姉ちゃんたちとは違って、生きてるうちに隋の皇后になるわけだ。その息子は、俺さまに「ひろし君」よわばりされてる楊広。煬帝だよ。
一方、李さんに嫁いだ娘が産んだのが、李淵。李淵の息子が今回の私の西安旅行に頻繁に出てくる李世民=唐の太宗。というわけで、この人も皇后を追贈される。
楊広も李世民も独孤信の血を引いてるというわけ。
唐!
ほぼ無視された隋……あ、ここにはシルクロードも関わるんだけど、支線にすぎないだろう、日本もちゃんとカウントされてた。正倉院だねえ。
唐のお宝のうち、唐三彩から。おでぶちゃんと馬は見飽きるほどいるんで。ラクダちゃん↓。上におでぶちゃんが乗ってるけど。

真ん中は明らかに女の子。楽団は服がメンズっぽいけど、顔は柔和。男装した女官らしき姿は、壁画のところで見たんですけど……男装した女の子たち?
今回借りてきたらしき↓大明宮の(含合殿のところの)博物館では「貸出中」になってたやつ。

ドアノブですね。でっかいのよ。
唐代壁画珍品館
はぁー。目的はこれだったのだ。なお、撮影不可。
靴の上に大きな靴下を履いて入るし、薄暗いのでいろいろな場所で滑らないか結構不安になる足元であった。
初めに、誰の墓の壁画なのかの説明ビデオがあります。
章懐太子、懿德太子、永泰公主のものがメインです。(それだけではないですが。)
この人たちの中で章懐太子はわかるかな……↓「李賢」ってあるでしょ。この人なの。
後漢書に注釈を入れることができるほどの優秀さ。息子ながら武后は脅威に思ったんでしょうかね。え?息子の優秀さを喜ばないの?自分に似たんでしょ?と思うのは、現代人だからかしら。
他にも「後漢書」はあったけれど、唐の太子が注釈を入れたので、この范曄のものが残ったとか。
ご本人は高宗と則天武后の子の一人ですが、母親に……な子です。この人は生前すでに太子に冊立されてたけど落とされるわけね。
懿德太子と永泰公主は、章懐太子の弟の中宗と韋皇后の子どもたちで、武則天おばあちゃんの寵臣を除こうとして……な十代で命を落とした人たちです。
中宗は、武則天没後に兄と二人の子どもたちを高宗と武后の乾陵の近くに改葬します。懿德太子の墓は帝王の格式で。意外に主導権あるね、と思ったらなんだ、二人とも韋皇后の産んだ子じゃないの。
https://baike.baidu.com/item/李显56173
いやあ。武則天時代は日本では持統天皇の時代とかぶります。中宗と天武天皇の皇子たちなら時代が被る人もゼロではない。キトラ・高松塚の被葬者ご本人と時代が完全に被るかは別だけど。いずれにせよ、後世の我々から見れば「同じ時代」に見えるということを言いたいわけだ。
キトラで壁画を見たんだけど、ほんとにさ……湿度……
こっちは本当にね、鮮やかなんですよ。水茎の跡もはっきりとしたものもたくさんあるし、退色して輪郭がよく浮かび上がってるものもたくさんあるし。もちろん全て保存のために手が加わってますが。
章懐太子は鴻臚寺によくいたということで、「外国人」が描かれてる。使者だろうという人たち。馬球の絵も章懐太子だったかな。(パンフなし、売店に壁画の本もなかったんだよぅ……一番分厚いやつだったらあったかしら……)
懿德太子のものには当時の長安の建物の様子。大明宮かしらねえ。太極宮かしらねえ。
永泰公主のものには、女官たちが描かれるんだけど、その中に男装した女官とされる人の絵もいくつかあるんです。確かに小柄……上のラクダちゃんに乗った楽人もひょっとして??と思ったのはそういう次第。
日本語ガイドがいたんだけど
実は壁画のところには、60前後かなという夫婦がいて。夫が日本語で喋ってて、態度悪いな……と思ってたの。妻は中国人か台湾人もしれないし、中国好きで中国語ができる日本人なのかもしれない。ガイドにアル化の弱い普通話で二言三言言ってた。一緒にカタコトの日本語を喋るガイドのおじさんがいたんで、聞こえちゃったの。
ガイドは、いや、見たらわかるだろ、みたいなことしか言ってなくてね。博物館を解説するのを専業にしているガイドなのか、西安を案内するガイドなのかは知らんけど。
博物館を解説するガイドを雇ってこれだったら、俺は悲しいぞ……
実は西安では、2024年の上海以来の日本語を聞いた(蘇州でも聞かなかったと記憶してる)のね。それも複数回。上海ではどうも駐在してるっぽい人たちだったけど、西安では明らかに日本人観光客と日本語を喋る中国人ガイド。どうしても聞こえちゃう母国語なんですが、日本語ガイドの解説はね……お金を払って解説がこれなら、俺さまは泣いちゃうレベル。
上にも書いた通り、解説目的ではなく、博物館内の重要なものだけを効率的に見てまわりたい、とか。反対に見逃しなく全てを見尽くしたい、みたいな使い方なら、ガイドを雇うといいと思う。
食堂なし
この規模で4時間5時間すごすときには、美術館博物館飯することが多いんだけど、陝西歴史博物館には、食堂がなかったねえ。
ただし、各展示室の外のベンチでは、持ち込んだ物を食べてる人が結構いたんですよ。ゴミ箱もあるし。人民的にここは飲食OKという解釈なんだね、ということで。ウェットティッシュでおててふきふき。念のために持ってきていたバランスパワーもぐもぐ、iPhone 16 Proも充電もぐもぐ。
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