さて、奈良公園に戻りました。
前の日、興福寺には行けなかったので、今回の京都・奈良巡礼の旅の最後に興福寺。結局この「興福寺」をチョイスしたのが、翌日東京で凶と出たのだと思う。最後が国宝の五重塔を修復中だった薬師寺ならそうでもなかったかもしれないなって思うけれど、薬師寺なら薬師寺で、セットにしちゃうのが唐招提寺だから、やっぱり関西の後に東京、と持ってきたのが大失敗。
その話は別にして、興福寺です。ここはおそらく、広大だったからこそ、そして奈良市の中心部にあるからこそ、廃仏毀釈の影響を受けてしまったお寺です。
それもあって奈良市内にいると「興福寺、気の毒…」って思うけど、奈良県内でも他のところにいると「またお前か!興福寺!」ってなる。
すぐ近くにある東大寺が、きちんと境内があるにも関わらず、この興福寺はほとんど奈良公園のなかにポコポコと建物がある始末。
北円堂
さて、特に入り口も何もなく、入ったところで一番初めに目についたのがこれ、北円堂。
元は、不比等追悼のために、元正・元明女帝が長屋王に命じて作らせたようだけど、この建物そのものは鎌倉時代の建築物です。平重衡の南都焼き討ちにあって焼失。
特別公開で300円。
中には運慶と運慶一門の手による仏像がありますが、無著・世親を見ていると、鎌倉時代の仏像って本当にリアリズムの追求で、醜悪・露悪趣味ギリギリのところにあるよなあって、つくづく思います。
南円堂
藤原冬嗣が父の内麻呂追悼のために建てたけれど、この建物は江戸時代のもの。藤原北家にとって、大変重要なお堂だったようですよ。なんだけど、人はなんだかスルーしちゃってた。もったいない。
御朱印300円。
五重塔
元は光明皇后が建てた。
今のは、室町時代のものだけど、やっぱりここの五重塔はかっこいいと思う。
東金堂&国宝館
お次は東金堂&国宝館の共通券900円。
そして次が国宝館。
ここで、すっごいのやってた。
東京・青山の根津美術館(ここの仏像コレクションはすごく有名。姉さんも東京の根城が青山だった頃に何度か行った。)にある帝釈天はこの興福寺から流出した仏像です。帝釈天と梵天はセットなのに。
2017年に梵天が根津美術館に出張して再会したようです。「再会-興福寺の梵天・帝釈天」ってタイトルで。
今回は、流出した帝釈天が興福寺に里帰り。
BL好きだと、もう涙ちょちょ切れるんですよ。
どさくさに紛れて誘拐された男、帝釈天。その帰りを待つしかなかった男、梵天。梵天を動かすことでようやく二人は100年以上たって再会できた。それがまた引き離され、ようやく帝釈天が里帰りして梵天に会えた。
もう、泣けるでしょ?泣くしかないでしょ?
罰当たりですが、もうどうしようもない。業。Born this way.
ついでに、「ここのスターは俺だぞ!」と空気を読まずに帝釈天に喧嘩を売る美少年・阿修羅までセットでどうぞ。
久しぶりに見たけど、阿修羅、かわいい顔をしている。(そうです。興福寺の赤い顔の、あのプリティーな阿修羅、国宝館で見られるようになってます。もう、特に待ち時間も何もない)
なお、阿修羅は国宝。梵天帝釈天は重要文化財です。阿修羅は奈良時代の作、梵天帝釈天は鎌倉時代の定慶作。
飛鳥から奈良に帰って泣き崩れかける (2020年10月)
途中ですが、2020年10月のお話を。この回はGo Toトラベルを利用して、Go To 飛鳥でした。⇒2020年10月 Go To奈良
国宝館にある、首だけの薬師如来像があるんですね。もともとの東金堂の御本尊だった。日光・月光は今でも東金堂にある。
実はこの三体は天平時代のものではなく。なんと白鳳時代のものです。飛鳥の山田寺の御本尊だったの。山田寺そのものは、持統天皇時代のお堂は残ってないけれど、倒壊して埋まっていた東回廊が、飛鳥資料館に展示されています。ここに、レプリカの薬師如来像がありまして。⇒飛鳥資料館
しれっと「白鳳時代」と書かれた、みんなが素通りしていく仏像の前で泣き崩れかけました。
中金堂
次に、10月に落成したばかりの中金堂へ。拝観料300円。
天平の様式で再建。
これ、お金を払わなくても、中門跡(階段の前)から見ると、中の仏像がピッカーン!と見えちゃうの。
中に入ってみると、中に一体ピッカピカの仏像があって、その周囲を国宝・重要文化財が固めていたのがちょっとアンバランスでした。御本尊は国宝??ん??修復でピッカピカに?
ここ、夜はライトアップしているのですが、前の晩に私は正倉院展で奈良国立博物館にいたんですよね。微妙な土地勘しかないので、19時なので、もう暗くなってるし、ちょっと怖いよね、と思って見に行かなかったの。惜しかったかな。
北円堂:300円、御朱印:300円、東金堂&国宝館:共通券900円、中金堂:300円
・興福寺