現在の南京にも、明の南京城の城壁(城墙)も、それなりに残ります。明の城門も(それなりに)残ります。博物館がありまして。日本語では城壁博物館というべきものです。
南京城墙博物馆 南京城墙博物館 nán jīng chéng qiáng bó wù guǎn
中国には世界遺産候補がたくさんあるけど、南京の城壁と城門もまた世界遺産候補の模様。
南京城墙博物館
要するに「南京城壁博物館」というわけ。

金陵から建業、建康を経て、南京(応天府)、という変化についても。
呉の夫差の治城、越の勾践の長干城、そして楚の金陵邑。あら、石頭山のところまで長江なんだわ!!!という発見。

大報恩寺は長干寺だったわね、そう言えば!⇒大報恩寺
そして中華門は元の名前が聚寶門だけど、それは山の名前だったんだ!と。
そして、↓孫権の頃にも、まだ石頭山まで長江がきてるのかー。

こうなれば、確かに石頭山が防御施設になりますね。石頭山では「昔はここが河岸で河が削った」とあって、今は秦淮河の河原みたいになってたから、秦淮河なのかと思ってたんだけど、これは長江だwww
その後の六朝(のうちの五朝)の建康は孫権の建業をベースにした。見やすいように色を変えたけど↓

六朝時代のレンガに「石頭」ですよ。おおおおおおおお。石頭城!!!⇒南京石頭城遺址公園
この地に城壁を作るのは、五代十国の一つ、南唐が始めですが、明に飛ぼう。↓長江が移動してる!

黄河はしょっちゅう流れを変えるのだという話で、それに対して長江は穏やかなのだというけれど、比較の問題でしかなく、長江も地形を変えてるのねえ。
なお、清江門=清涼門。
で、明の南京城は三つの区分に分かれていた、と。

南京は自然を使った防御をしていて、蘇州のような四角い都市ではないよね、と思ったんだけど、皇帝がいるところ、軍がいるところ、商売するところとはっきり分けるのはなかなか合理的なことかもしれないと思いました。
意外だけど、皇帝が一番北に座って南を向いているスタイルの首都って、鮮卑系の北朝系みたいよ。
煉瓦で作った明の城壁
現代日本で煉瓦というと赤茶色のやつを思うよね。中国、特に明はレンガを使うけど、グレーのこの色。青砖(qīng zhuān 青磚)と言います。城壁ではなくても出てくる。これはタイル状のものを重ねてるっぽいけど。↓

科挙博物館の、科挙の試験会場です。⇒中国科挙博物館
そのレンガを作ってるお人形さんたち↓

非常に長い城壁を作るので、官製、軍製、民間製といろいろ必要だったようです。それでどこの誰が作ったレンガなのかをはっきりさせるために、名前が入る。

木枠に逆さ文字を彫っておくのね。
当時の、いわゆる史書に残らないような普通の人の名前がたくさん残ってるというわけ。その中には女性の名前があったりする。
南京ってこういう↓大量に集めて見せる展示方法が多かったなあ。

その中には……↓あれ?

anegoのウォーターマークの真上。「造磚人夫刘徳華」……劉徳華、つまり香港のアンディ・ラウと同じ名前もあったよ、と。あのお名前は、実に古式ゆかしい雰囲気があるんでしょうか。アンディ・ラウわかる?わからない?香港映画の傑作の中の傑作↓
劉が簡体字と同じなのは、上の通り、板に彫ってぎゅっと押し入れるので字数が多い楷書体を嫌って、行書体を使ったんだろうと思う。その割には「磚」はそのままだけど。
現在の城壁は、元の明の城壁の素材をできる限り使ってますということで。よくよく見たら、文字が入ってるものが見つかりますよ。
閲江楼の下、儀鳳門から続く城壁の上を少し歩けるようになってるんですが、そこで見つけました。

(見やすいように右を上に持ってきた)
ただ、これは焼く前のレンガに直接彫ったように見えるけど。⇒閲江楼
城壁の構造
そして城壁はいろんな構造がありますよ、と。

雨も多い土地だしということで、水を外に流すための水利装置もあったよ、という解説もあった。
城壁は攻め込まれるときの防御装置
明以降、南京は重要な都市どころではなく、中国の中でも首都クラスなので。戦争になると激戦地になるのは仕方がないよね。なので戦争や兵器についても説明があった。
明の手銃↓。おそらく後ろ側には木の軸が刺さってるんだと思う。

朱元璋(洪武帝)没後、孫が即位するけど、叔父の朱棣に追い落とされる靖難の役では、外の城郭だった金川門の変で外金川門が陥落することで南京は陥落する。
明の滅亡ののち、鄭成功は獅子山を取り、北側の神策門を落として南京を陥落させた。
太平天国は、北西の儀鳳門付近を爆破して南京城に侵入して「天京」にする。
清軍は東側(にあるけど北に向いた)太平門を挟んだ攻防を太平天国と繰り広げ、十一年も膠着状態にあった。結局、北西の長江側ではなくて南東、南、南西から落としてるのね……
太平天国歴史博物館以外では、太平天国ネタはここでしか見なかった。↓太平天国歴史博物館にもあったけれど、太平天国の大砲です。

辛亥革命では北側の幕府山砲台に、再び北側の外金川門、そして南側の雨花台などが主戦場に。
日中戦争では日本軍は三つに分けて、東側は紫金山と中山門、東南側は光華門と通済門、南側は雨花台と中華門に水西門で展開した。
ボロボロになった門の写真と共にこういうのはあったんだけど、南京大虐殺に関してはちっともなくて、私がびっくりした。(広島や長崎で、近代史を語るときに原爆を語らないということはあり得ないと思うので、あると思ってたんだけど……南京大虐殺記念館のみなんでしょうか)
日中戦争後の国共内戦に関しては何もなかったような……
そして蒋介石に関しては、城壁と城門を保存するか否かというところで、唯一20年代のものがあった。孫文没後の1929年。

「蒋介石」と我々日本人は認識するけれど、彼の諱は「中正」。「介石」は字です。台北にある、「中正紀念堂」は諱を使ってるわけよ。⇒中正紀念堂
客にびっくり!!!!!
城壁は防御装置だからさ。日中戦争関連の展示もあったわけ。上にも書いた通り、あっさりと、淡々と、述べててね。南京大虐殺にも触れてないと思うの。
ここではちょうど、中世ヨーロッパの騎士の鎧の展示などもあったのね。ついでにそれも見てたわけ。(それがあったから?なのかな。全体が有料でした)
そしたら、母親と娘の組み合わせがいて。母親は40前後に見えた……ということは、日本人の目には20歳を超えた中国人は男女ともに実年齢よりも上に見えるから、私よりも年下かなあ。それでも八十后(80年代生まれ)かしらね、と思う人よ。娘は15歳前後かなあ……なんだけど。娘が母親に「うぇいしぇんま、しゃおりーべん……」って言ってたんですよ。
はっきり聞き取れたわよ、「为什么小日本……」。「どうして小日本は……」なんだけど、いらんよね、「小」は。「为什么日本……」でええわけよ。
もう、ドン引き。愛国心を煽るような文言ではなかったと思うのだが……
そそくさと立ち去ることにしました。
明の城門
明の城門は十三座あってね。現在ではもっと増えてるのだけど。そのうち見たところをまとめておこう。
中山門は、人がたくさん映ってて消すのが大変なので割愛。
中華門
元は聚寶門(聚宝门)。中国に残る城門の中では最大級のものです。南京城の南方側の門。↓は大報恩寺より。⇒大報恩寺

塔からの撮影なんだけど、これでは見にくいよねえ。上に生成AIで作ったっぽい造形のものがいるけど、上に建物があった模様です。城壁博物館の展示から↓

兵器を貯蔵したり、兵士が潜んだりできるんですよ。
大きいスロープで登れるんだけどね、内側に三つの瓮城を持ちます。
しかし、太平天国の時に大砲の標的にされたり、日本軍の集中砲火を浴びたりした。
https://baike.baidu.com/item/中华门/37138
清涼門
石頭城のところの、入り口が清涼門。清江門と称したこともあったようです。⇒石頭城

本来は内側に瓮城があって、撮影ポイントが瓮城に当たるんでしょうかね。日中戦争のときには、最後の抵抗線だったんだとか。
特に大した遺跡として残ってるわけではないけれど、三国志が好きで、明の城壁を見たいならここは結構おすすめです。中国のKOL式に、無料なのもおすすめポイントかもしれない。
https://baike.baidu.com/item/清凉门
儀鳳門
儀鳳門は、中華民国時代には興中門と名前を変え、大躍進運動の時に一度倒されます。元は穴が一つだけだったのが今は三つ、そして名前も興中門ではなく、元の儀鳳門として再建されています。
南京城の北側の門なのだけど、鄭成功が抑えてみたり、太平天国が穴を掘って地雷を使って爆破して侵入経路になったりしているようです。
天妃宮から↓

反対側は、閲江楼に登る途中から。↓

南京で、城壁も、そのほかのも、と思うなら閲江楼がおすすめです。城壁が閲江楼の公園?の有料部分で歩けるから。ただし東側から先に城壁も見てから登るのをお勧めする……あと、2026年3月は道の拡張工事?と地下鉄9号線の工事中で、この周辺の外の道が実に歩きにくかったです。(もともと南京はぶらぶら歩きに向かない都市だと思う)
https://baike.baidu.com/item/仪凤门/0
神策門
南京駅の近くです。ここはほかの門とは違い、門の外側に瓮城がありました。↓のカーブが、瓮城。

鄭成功vs清軍、太平天国vs清軍のポイントの一つだったようです。天京陥落のとき、清軍が一番初めに入ったのがこの神策門だったようです。
中華民国の時に、和平門と名前を変え、瓮城の中が油の倉庫になったんだって。それから2001年までずっと軍が管轄していたんだとか。
多分ここからも玄武湖に入れるんだけど、私はここの脇というか。ぐるっと回って玄武湖に入りました。⇒玄武湖

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