バスキングはやめとけ〜
姉さん、お金持ちではありません。
ない財布をはたいてお出かけするわけよ。そして、豪遊するんじゃなくて、質実剛健をモットーに慎ましい旅行を楽しんでいます。楽しいのが一番!そんなにお金をかけずに楽しんじゃえる人なもんで、お金があっても慎ましいと思う。
自営業なんで、時間はなんとか作れても、有給休暇なんてものは存在しません。10日間お出かけすると、そのまま収入が2/3になる仕組み。
有給がある身ではなく旅に出れば、収入を得る手段がなくなる。その心細さはよくわかる。
じゃあ、現地で何かしてお金をもらえばいいじゃない?ホテル代は野宿してさ、という思考をする方が出てくるのもわからないではないんだ。
何かして、というのは「バスキング」なんてやつ。体が丈夫だったら、私も一度は考えたかもしれないくらいには、理解できるんです。残念ながら虚弱体質な上に、多少なりとも知識と経験、そして想像力がある。バスキングは違法なこともあるから野良バスカーになるのはやめとけ。
やるなら、きちんと許可を取ったりして正攻法で行うべきだし、お金が欲しくてブログがあるなら広告を貼るといいよ。
そもそもバスキングとは
バスキングというのは、Buskingでgoogle画像検索をするとわかると思うんですが、大道芸でです。パントマイムとか。
バスキング(大道芸)とベッグ(乞食)は厳密には違うのだけど、旅行者がやってる野良バスキングは「begpacker」としてほぼ同じように扱われています。
日本人旅行者がやりそうな野良バスキングというと
- 音楽を奏でてお金をもらう
- 路上に絵を書いてお金をもらう
- 写真を売ってお金をもらう
- 毛筆で字を書いてお金をもらう
といったところでしょうかね。
そのほかに、
- 料理をしながら
- 散髪をしながら
なんてバリエーションもありそう。いずれも「ベッグパッカー」と呼ばれるわけね。
バスキングそのものはねえ、どこまでが表現の自由かという問題をはらむんでね、合法だというところもあれば、違法だということもある。それは本当に地域によります。
合法だとしても、登録制・許可制・免許制にしているところだってある。
さらに、バスキングで対価を得ているので乞食ではない=労働である=労働ビザ・就業許可が必要かもしれません。
begpacker =ベッグパッカーとは
香港で白人の20代くらいの男性が「旅行してます。お金をください」とボードを持って立っていました。
これが典型的な「ベッグパッカー」というやつ。
beg=乞う、とpackerをくっつけてるのね。beggar=乞食です。つまりbegpackerというのは乞食パッカーということ。これ、英語話者の中で軽く問題視されています。(日本語と英語しか読めないから他の言語は知らぬ)
特に若い白人begpackerが白い目で見られています。母国でやるならわかるんだけどどうして外国、しかもあんたよりも貧しいかもしれない人たちからお金をもらおうとするの?「恥を知れ」というやつだ。
香港で英語話者が、白人の物乞いについて書いてるところを見ると、香港においてはバスキング含めて違法と思われますね。
・The Caucasian beggars hitting Hong Kong with a vengeance while police turn a blind eye (South China Morning Post)
(香港の市民権、ビザがあれば別かもしれない。)
これはギャップイヤーを利用してアジアをめぐるイギリス人の若者のベッグパッカーの話。主にタイね。
・‘Gap yah’ backpackers begging for money should be ashamed of themselves (The Telegraph)
「恥を知れ」というのですけれども、その前にその土地では犯罪かもしれないよ。
日本の場合を例に引いてみよう
乞食行為は軽犯罪法に反してるよ
乞食行為は日本では軽犯罪法で禁じられてます。
軽犯罪法1条22項
こじきをし、又はこじきをさせた者
日本で薄汚れた紙コップを差し出す人がいないのはそういうわけです。
なお、日本においては 托鉢は宗教上の修行ゆえに乞食ではなく、寄付は生活の糧を得ようとしているわけではないので乞食に当たらず、大道芸人は労働の対価ゆえに乞食ではないというのが通説的な解釈です。
大道芸人も露店商も公道の占拠=道交法出てこないかな?
大道芸人、露店商も乞食ではないのですが、今度は公道を占拠する存在なわけで。それが歩道であってもね。無許可営業では、今度は道路交通法が絡むんじゃないかなー。
76条の3項と、4項2号あたりではないかとあたりをつけています。
第七十六条
3 何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。
4 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
二 道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつていること。
どこかの敷地で無許可でやったら、刑法犯になっちゃうかもよ
じゃあ、どこかの敷地でゲリラ公演やろう!とすると、今度は所有者・占有者に許可を得ていないなら侵入罪を満たしちゃうし、退去してくれと言われても出なければ、不退去罪。
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第百三十二条 第百三十条の罪の未遂は、罰する。
ショッピングモールのような店舗であっても「人の看守する建造物」でね、買い物客ではないなら管理者の意思に反しているんで侵入罪が成立しちゃうからね。気をつけてね。
野外の公園がベターだけどどこも必ず管理者がいるから、許可を得るのがより安全。
警察が出てこなくてもさ・・・
警察が出てこなくても、場所によってはヤーさんが出てくるかもしれません。
怖いでしょ。ひょっとすると具体的に一番怖いのがこれかもしれない。
ここまではあくまでも日本の話。
各国で違法か適法かは変わるけどさ。そもそもやってることは労働ではないの?
アメリカでは氷点下の世界で物乞いをする人がいたし、マンハッタンで20代くらいの白人の女の子が「神のお慈悲を」とボードに書いてうなだれていた。
クアラルンプールには片足ない人が頭を下げる。
ヨーロッパでは歩行者天国で大道芸を披露する横で、紙コップを突きだしてくる人もいる。警察が特に取り締まるわけじゃない。
かといって、上に挙げたように、香港ではどうやら乞食もバスキングも違法ではないかと。
それぞれの国で法律が代わり、解釈が代わるので何とも言いがたいんです。
仮に以下の事例が日本以外のその土地で適法だとするよ?無許可・免許も不要でOKだとするよ?
- 日本人観光客を有料で案内する
- 路上でバイオリンを演奏して、お金をもらう
- 路上で習字をして見せて、お金をもらう
今度は次の問題が出てくるわけよ。
そう。労働。
行為一つ一つが適法としても、お金を稼ぐ=労働ビザあるの?
そもそも、バスキングは物乞いではないんだ!(ドヤ!
が通ったとして。
ただし、行ったことに対する対価を得るであれば、それは労働行為とみなすと思うのね。ねえ、労働ビザがあるの?観光ビザでしょ?
小さい額だからお目こぼししてくれる、だから問題ない、で済むのかなあ・・・。
ワーキングホリデー制度などを使うなら、いいと思うのよ。その行為が適法なら。
優しい視線を送る人もいれば、厳しい目を向ける人もいるし。「こういう人を見かけたけれどやっていいの?」と知人のお巡りさんに聞く人もいるかもしれないし。
不法就労で強制退去させられたって文句を言える立場ではないと思うのね。
バスキングをしたいなら、ビザを確認し、ワーキングホリデーを使ったりして、許可が必要か否かを確認して、正々堂々とすればいいのよ。
「労働」にあたるかもしれないことはいろいろあるよ
野良バスキングだけでなく、ビザラン(労働ビザ・就学ビザなどを取得せずに、観光ビザだけで何度も国境を越える)をしているような方がやりそうだとおもうのは、
- 日本人観光客相手の野良ガイド
- 日本人観光客相手の野良ドライバー
のようなものです。
TLを眺めていて、フォローしている方が「SIMを買い、(次回も使えるような)プランの選び方、設定の仕方を教えるから手数料で1000バーツいただきたい」というようなことをおっしゃっていて驚きました。これも野良ガイドの一種ですよね。ただ、労働ビザその他市民権などをお持ちならその限りではありません。有料ガイドが登録制・免許制ならそれは別だけどね。
でも、(1000バーツ=3500円強)は高すぎますね。SIMが欲しいならAmazonへGO。最新のマニュアルをつけて売っている業者さんがおられます。香港にせよ、どこにせよ、すぐにプランもSIMも変わっていきますからね。最新情報をたっぷりと持っているだろう販売業者さんの方が確実だと思う。
野良バスキングや野良ガイドなどしなくっても、細々と収入を得る方法はあると思うんだが
例えばの話、「毛筆で書ける」技能があるなら、それで日本でお金を稼いでお出かけするんでもいいと思うんだ。
写真の撮影ができるんだったら、ストックフォトサイトに出してみたら、寝てる間に売れるかもしれないよ?
動画の撮影ができるなら、YouTuberになってもいいし。
料理ができるなら、年齢次第ではワーキングホリデーである国の厨房を巡ったって良いかもしれないし。
散髪ができるなら、年齢次第ではワーキングホリデーでその国の美容院を渡り歩いても良いだろうし。アジア系が多いところなら日本人美容師で腕がよければ重宝されるかもしれない。オーストラリアみたいな豊かな国ならお金がたまって開業できるかもしれない。
文章が書けるんだったら、ライターになれるかもしれない。日本にベースのあるフリーランスのトラベルライターの旅行は取材活動だし、そこに労働ビザまで必要とは思えません。何年も世界を放浪しているライターさんが移動しながら書いていることが、その国での労働にあたるか否かは別だけどね。税金の問題も置いておくよ。
Facebookするくらいなら、ブログにアフィリエイトを貼って、広告収入を目指したっていいと思う。「姉御の一人旅ガイド」は収益という点では大赤字ですが、ブログの収入は馬鹿になりません。おかげで一泊滞在を伸ばせる。
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アフィリエイト収入は、今の所赤字ですが、旅費とトントンに持っていければ最高!くらいでやっていて。
これは読者さんに支えられているおかげだと思っていて、感謝しかありません。
プレスツアーでタイにいけたのも、読者の皆さんがおられるからです。こっちが一方的にスピーカーでしゃべり続けている感覚はありますが、ビュー数やクリックされるリンクなどを見れば皆さんの「声」が聞こえるようです。私にとってはそれはけっして、孤独な作業ではありません。
まず私にとって楽しいこと。そして、読者の皆さんにとって役に立つんじゃないか、それを心がけて書いています。
だからさあ、バスキングなんて、ほぼ違法なことをしなくても、細々と稼ぎながら旅行をすることは不可能じゃないと思うんだ。