2020年4月に腹腔鏡下胆嚢手術を受けました。症状と検査についてはこの記事に。⇒鳩尾の右側から背中に突き抜ける痛み。入院に至る経緯と検査について
胆石症そのものは珍しいものではありません。女性の方が多いという話です。腹腔鏡手術も2020年4月現在ではやはり特に珍しいものでもないでしょう。ただ、腹腔鏡下胆嚢手術を受けた30代女性のブログはあまり多くなく。こういう話を聞きたかった!というところを書きました。
N=1の、1人の患者の体験ということで、今後胆嚢手術に向かう人の助けになれば、というのがこの記事の趣旨です。医学的なものではありません。
また、同じ腹腔鏡下胆嚢手術でも、病院の方針・執刀医の方針・患者本人の体つきその他でいろいろ変わるのかも。受けられる場合の疑問点はきちんと聞いて解決しよう。
医学的な、手術に関する解説は医科歯科のこれが読みやすいと思います。私の場合は、通常の腹腔鏡手術ですみ、合併症も何もありませんでした。
http://www.tmd.ac.jp/grad/msrg/gallbladder/cholelithiasis04.html
手術決定から手術まで
元気だったら一時的に退院させてもらえたかもしれないけれど、私は検査でかなりヨレヨレになっていたし、絶食でヘロヘロ。さらに肝臓の値がおかしなものを叩き出したので、肝臓用の注射も必要だということで、一時的に退院することはありませんでした。
手術をするのに点滴だけではカロリーが補えないんだよなあ、と呟く医者に、私は売店で見たヨーグルトを食べてみたいと思ったと呟いたら、流動食が開始されました。三分粥になり五分粥になるところまでは進んでいくけれど、手術へ向かって一直線!
私は私で外科病棟に(家から)パソコン持ってきてもらって、仕事始めました。
手術代を稼がねば。
親を呼んで(両親揃ってくるのだ、うちは!)外科医からの説明が行われました。
食餌療法と体調の管理
手術まで入院して行うことは食餌療法と体調の管理です。胆汁が出ないようなメニューなのね。そして「風邪をひいたら手術できないよー」ということ。
絶食の24時間点滴体制から、食事が開始されると徐々に点滴の本数は減ります。ヴィーンD輸液で生きてたけれど、あれは痛かった。ヴィーンのオーダーがなくなるだけでちょっぴり楽になります。絶飲ではなかったけれど、点滴されていると喉があまり乾きません。
それでも毎日点滴され、血管は壊れ続け、ラインを取り直します。左手の血管は手術で使いたいから使わずに、右手に点滴をするようになりました。ご飯も左手で食ったんだぞ!姉さんすごい!
手術までの病院食は、一番固形物が多かったときでもこんな感じでした。

足りるかーい!ってこれまでの私なら思う量なんですけれども、絶食明けの私には多すぎるほどだった。
もう一つ私の気をつけねばならない要素は喘息でした。その病院には呼吸器科がなく、行きつけの内科で処方されている喘息・アレルギーの薬を全部持ち込み(主治医と薬剤師に確認してもらって)使用しました。
手術できなくなるような風邪といってもいろいろだけど、一つの目安としては38度まで行ってしまうと手術はなかった模様です。入院した時が37度。手術に至るまで最高体温が37.3度で当日の朝の体温も37.3度。手術は決行されました。
呼吸訓練
特に喘息持ちの私の場合は、ナースに「しっかりやれ」と言われていたのが呼吸訓練です。売店で買った。

息を吸うことでこのボールが上がります。
実際に手術を受けて戻ると本当に呼吸が浅くなりました。もっともっとやってても良かったかも。
術前検査&説明
そしてまた検査。しかし、術前の検査です。
血液検査として静脈からはこれまでも二日に一度くらい抜かれていましたが、動脈から抜くと足の付け根から抜かれました。腎臓を見てたんですかね。
この日は酷くて、静脈から抜かれ、次に動脈から抜かれ、点滴を打たれ、出血検査に行ってくださいと言われて、腕に針を刺されるという、ちっくんデーでした・・・。バンコクちっくん事件以来のちっくんデー・・・。
病棟ナースからの説明があり、その人は「その晩は私が朝まで担当する予定です。何かあればすぐに呼んで」と言ってくれました。
次に麻酔科に行って、麻酔科医に麻酔の説明を受けるなどしました。
硬膜外麻酔は痛くないと麻酔科では言われたのに、三番目に手術室のナース(全身麻酔・硬膜外麻酔による手術の経験済み)が来て硬膜外麻酔は痛くないけど、その前の局部麻酔がちょっと痛いと言われて、恐怖でガチガチに固まるなどしました。実際のところは点滴液漏れの方が痛い。
しかも、生理が来る・・・
今回の記事のキモの一つはここ。すごく戸惑って慌てたもん。解析すると読者さんは圧倒的に女性だし、上に書いているように、「30代女性」に向けて書いてる記事だからね。
旅行好きでそれなりに日程の調整が自分でできる女子は、多分ルナルナを入れて、気分が悪い日をできる限り外すようにしてると思うんだ。(しかし、毎月毎月必ずバシッと予定日に来る人は少ないよね)
私もルナルナを入れてて、入院して生理が近いと思ってた。ただ、検査でヘロヘロになってたし、気分が悪くてずっと寝てたでしょ。
私の傾向は、予定日の一週間前に運動不足のときは遅れがち。なので、手術の後に来るかなと思ってた。
ら。
予定日ドンピシャで生理が来た。うわああ。と思いつつも、手術の日が決まって数えると、まだ生理中の可能性が高い。え、大丈夫なの?
不安になって(病棟の)ナースに聞くと、それは女性はよくある話らしく。それも抜群のバッドタイミングで来る人はかなりおられるようで。手術のときに生理になる患者さんも私だけではなく結構おられる。そもそもナースのように比較的慣れている人でも検査で一番つらい日に生理で一番つらい日が来ることもあるんだそうです。
手術と生理はみんな口にはあまりしないトピックスだから不安になっちゃうけど、それなりにある話なんだってよ、ということを私は言いたいのだ。
多分外科医も手術室のナースも妙齢の女性患者にはそういう可能性があるということはわかってる。もしも手術を控えてるときに生理中や生理が近い場合などは、ナースに相談してみよう!
病棟のナースに一度言えば多分医者にも手術室のナースにも伝わるだろうけれど、私は主治医にも手術室のナースにも「生理になっちゃったの!大丈夫なんだろうか」と言って、どなたにも「大丈夫」と言われた。
また、(手術室の)ナース曰く、手術中から手術後はおむつなので、生理で血が広がることを気にする必要はないし、多い場合にはおむつの中にナプキンをつけても良いと言う話でした。私の場合は少なくなってて普段なら夜には終わるよね?というような日だったから、ナプキンは使いませんでした。
病院の売店に、ナプキンは売ってるけれど、お気に入りはぜんぜんなかった。肌があまり強くないから、量によって使いわけないとかぶれしまうことがある。これはQOLに関わる大問題よ!なので、Mamazonに「買ってあるナプキンセット、全種類持ってきて!」と頼みました。
動かない=出が悪くて長引いた&点滴でしょっちゅうトイレに行く、ということで、入院中に一番使いやすかったのがこれ。割高だけどたいした額ではないし、かぶれる方が嫌。
前日に一度目のシャワー
実はこの手術前日までシャワーを浴びられなかったのよ。点滴に繋がれていたし、そもそも主治医の許可が降りてなかったから。(めちゃ病人扱いされてた)
前日にシャワーを浴びることができて、気持ちがよかったー。ここでの目的は「お臍を洗え!」。一生懸命洗いましたよ。
病院によっては体を洗うものを置いてある可能性があるんだけど、私の入院した病院では見つけられませんでした。Mamazonが家探しをして見つけて入れてくれたこれ。

マカオの、カウントダウンホテルのアメニティが余ったから開けてないものを持って帰ってたの。それに、どこかのビジネスホテルで(連泊したから)使わなかったボディスポンジも入れてくれてて、良い気持ちでした。
旅行のときはよくキュレルのこれを用意するんだけど、どのみち定期的に出かけることを考えれば、スーツケースに突っ込んでおいても良いんだなあと思いました。
ボディ用も。
いよいよ手術
手術当日は、一度特別室というか、観察室に入りました。ステーションからアクリル板で丸見えになってるようなお部屋です。
準備
自分の病室でチェックするよーと言われて下をべろん。「女性は濃くないけど念のためにねー」と言いつつも、右側を中心にアンダーバストから下腹部までバリカンを走らされました。落ち着いたらまず全身脱毛しようと強く思った瞬間。
次におへそのお掃除です。オリーブオイルをおへそに垂らして綿棒でこちょこちょこちょ。そして、この日もシャワーです。これはおへそのお掃除に使ったオリーブオイルを洗い流すのが目的。あと髪の毛をきれいに洗って清潔にすること。
観察室に行く前、最後にすることは入念な歯磨きです。人工呼吸器を入れるからかもしれないし、次に歯磨きができたのは手術の翌々日の朝だったような。
観察室で術着を来てベッドに横たわって、そのまま手術室にベッドでご入場。歩いてご入場の病院もあるようですが私はベッドで入れられた。まじかよ、ERかよ!みたいな。
本来は下のおパンツも履かないけれど、上にも書いたように私は生理中だったので、生理パンツ&ナプキンをつけていました。髪の毛はくくってキャップに入れる。
手術室にて
名前を聞かれ(本人の特定)、今日は何の手術かを聞かれ(手術の特定)を行い、手術という人体に侵襲する行為の前には、間違いがないように気をつけるのね、と理性的に思いつつも、内心めちゃくちゃ怖い。
何が怖いかって麻酔がかからなかったらどうするの?みたいな。お腹チョキチョキされるの見ちゃうの?みたいな。
ベッドからベッドへ自力で移動し、そして最後に手術台に(自力で)移動して、手術台は結構暖かかった記憶はあります。
背中を丸めて硬膜外麻酔(ちょっと痛いよと聞かされていた局部麻酔も、実際に受けてみると、毎日点滴で血管が壊れて腕が痛くなり、さらに別の場所にラインを取り直してちくちくされていた私には「そうだよなあ」くらいでしかなかった)をされて、背中にカテーテルで繋がれて、ここはわかった。
次に仰向けになって、術着の前をべろんとされておっぱいの上にタオルがかけられたのも分かった。「点滴が入りますよー」と言われて、うへーこれからどう感覚を失うの?おむつはまだ履いてないんだが、と思った次の瞬間に名前を呼ばれましたよ。
「はい」と答えるは良いけれど、おへそが!痛い!鳩尾のところも痛い!なんじゃこりゃ!!!!
心理的クラッシュ
二つ目に書きたかったのは、心理的にクラッシュしちゃったこと。
「手術終わったよー。計画通りでイレギュラーなし!(=腹腔鏡手術で完了。管も入れてない)」と言われてパニック。は!?終わった!?心の準備ができてない!!!
おヘソのところが痛い!&鳩尾の右が痛い!
さらに喉がめちゃくちゃ痛くて声が出ない。出てもETかよ?って声です。「ETウチニデンワ」と遊ぶ余裕なんぞなかったけど、ETみたいな声だなとは思った。
喉がおかしいのは、全身麻酔で呼吸が止まるので、人工呼吸器に繋がれていたんですねえ(知覚してないけれど)。それで、どうしても喉が痛い。両足はマッサージ機に繋がれて動けない。
しかも、おむつに尿道カテーテルだぞ!?私はいつおむつを履いたのだ!?!?
まさか、履かされた!?!?
いいいいたあああいいいいい、とET声で言いながらそのままベッドで観察室に移動して、酸素マスクが顔に当てられました。決して理想的な、物わかりのいい患者ではなかった。痛いし意識はかなり朦朧として、小学校低学年くらいの、聞き分けのない女の子みたいになってたと思う。
ここについて、病院からフォローが一切なかったと文句を言うつもりはありません。単純に 、全身麻酔が早く効くから、私が手術室に入るときに麻酔だけではなく手術まで含めて心の準備をするべきだった、という話です。局部麻酔の麻酔は効くまでにちょっと時間があるでしょ?あんなもんじゃない。スパッと意識が飛ぶ。
おむつは、病院からは「おむつになりますよ」と言われていて「あなたが麻酔で気を失っている間にこちらで履かせちゃいます」とまでは言われてなかった。
おむつに関しても文句を言いたいわけではなく。事前にググった患者さんのブログで「知らないうちに履かされていた」ということは知ってたのよ。ただし知らないうちにおむつになってるということを事前に知っていても、実際に知らないうちにおむつを履かされてみるとめっちゃびっくりしたよ!ということ。
それ以外の、術後の経過についてはこっちに書きました。⇒腹腔鏡下胆嚢手術の術後の経過。一番辛かったのは、当日と翌日。
結果として、胆石以外に問題はなかった
結果として、胆石以外に問題はなかったようです。胆嚢を肝臓から剥がすときに、肝臓から胆汁が漏れることがあり、その場合は管を入れて体外に排出するようにするらしいけれど、そういう処置すらありません。単純に、腹腔鏡で胆嚢を切除し、(見られるようになったのは退院の前日だったけど)傷口も小さくすみました。
術後に摘出された胆嚢を見た両親に言わせると、きれいだったらしい。見たのか!私は写真でも見てないぞ。
胆嚢に癌ができていると胆石症になることが多いらしいですが、逆は必ずしも真ではないということね。
胆石も、黒くて丸っこいものがたくさんあって、一番大きいものでも正露丸よりも小さいくらい。で、よくよく見ると何かの塩(えん)なのか、結晶なのかという感じのキラキラが固まってた。でも美麗なものでは決してない。むしろ正露丸だから。
食後一時間後くらいから、鳩尾の右側、もしくはその裏側に当たるような背中が痛いことがあるなあと思った人。実際に胃もたれしそうな食事だったかもしれないけれど、胃ではなく胆嚢の可能性がある、かもしれません。
何回か痛みを繰り返すようだったら、その瞬間には症状がなくても、かかりつけの内科さんに相談なさってみるといいのではないかと思う。くれぐれも姉さんに相談するんじゃないよ!素人判断が効く領域ではないから。
私の術後に胆嚢炎で緊急入院をなさった方がおられたのですが(病棟のロビーで電話で大きな声で何件も同じ話をするから聞こえちゃった)、その方は開腹手術だったそうで(同じ執刀医)。私はそこまでひどくなる前に手術できて良かったなあとつくづく思いました。
私の手術が決定するまでの経過はこちらに書いています。⇒鳩尾の右側から背中に突き抜ける痛み。入院に至る経緯と検査について